Vol.37  


昨シーズン、6年間所属した千葉からFC東京に移籍した羽生選手。城福監督が掲げる「人もボールも動くサッカー」を体現させるために、チームリーダーとして日々奮闘する羽生選手に、自身が考える「リーダー像」やチームに対する思いなどを語っていただきました。!

MF 22
羽生 直剛

はにゅう なおたけ

Profile
1979年12月22日生まれ
千葉県 出身
167cm/63kg O型
前所属チーム:ジェフユナイテッド市原・千葉
経歴:千葉市立横戸小(こてはし台SC)→千葉市立こてはし台中→千葉県立八千代高→筑波大→ジェフユナイテッド市原・千葉→FC東京

豊富な運動量とタイミングの良い飛び出しで、90分間チームに貢献する。強いメンタリティーでチームを勝利に導く。

 

ナビスコカップ優勝おめでとうございます。まずは、タイトルを獲った率直な感想をお聞かせください。

  ようやく、というよりは早かったなという思いが強いですね。監督が就任して2年で結果を出すというのは凄いことだと思います。僕自身ももちろんタイトルを獲りたいと思って移籍してきましたが、3年目になんとか狙える位置にいれば良いのかなと思っていましたので、2年目で獲れたというのは、客観的に見てすごいことをしたんじゃないかなと思います。

※羽生選手が移籍してからの2年間で、FC東京は変わってきたと思いますか?

 そうですね。城福監督がやろうとしているサッカーを、選手個人がどうやっていくべきかを理解し始めたのは、今年の途中くらいだと思います。意識が高く練習ができるようになったし、一つの試合が終わって次の試合に向かうまでに、前の試合を反省して、それぞれの課題をあげて、どういうプレーが次の試合に大事なのかということをみんなが意欲的に考えるようになりました。最初は少し、そういう部分が明確じゃなかったのかなと思います。最近はチームの一人ひとりが上手くなろう、強くなろう、もっとできるんじゃないかと考えるようになってきて、そこは大きな変化だと思います。

※選手の練習への取り組みや意識が変わった?

 そうですね。『1日1日をサッカー選手として全う出来るか』という意識が身についてきているんじゃないかと思います。それを日々積み重ねていくことによって、1年後・2年後にはこうなるというイメージがしっかりと持てるようになると思うし、その積み重ねが結果につながると思います。

 ナビスコカップは優勝という最高の形で終わることができましたけれど「次につなげるには何が大事なのか」ということもしっかりと考えることができました。もし負けたとしても、その後に何をしなければいけないかとか、勝ったからこそするべきことは何なのかとか、そういうことをみんなが考えて、少しずつだとは思いますが、実践できるようになってきたと思います。

※ナビスコカップ決勝戦は「内容を重視して戦いたい」とおっしゃっていましたね。

 ナビスコカップの決勝前、僕があえて『内容重視』と言ったのは、それが勝利への一番の近道だと思ったし、自分達が小平でやっていることが勝利につながると思えなければ、積み重ねてきたものが意味がないと思ったからです。

  『大舞台でどれだけ自分達の時間を作ることができるか』ということが、今までやってきたことの評価につながるし、これからのサッカーにも意味を持って繋いでいけるという思いがあってのことです。やっぱり負けたくないし、リスクを犯したくないと思ってしまいがちな舞台だとは思いますが、そこで勝つためには、自分たちが今までやってきたことをどれだけできるかが重要だと思ったので、みんなには「相手が“イヤ”と言うくらい、つなぐという意識をもってトライしよう」と言いました。

 あの長方形(ピッチ)の中で、極端な話、『ゴールできなくてもいいからボールを相手に与えない』くらいのイメージでやろうよ、というのをみんなで話して試合に入りました。でも実際に試合をしたら、やっぱり自分達の時間はそんなに多くなかった。もちろん相手の攻撃はすごかったし、強い選手もいたんですが。あれだけ言って入った試合でも、これだけしか時間作れなかったという結果から『次はどうするべきか』というところが見えてきました。

 Jリーグの37試合の中の1試合だったら落ち着いて回せる時間が多いだろう試合を、あのような大舞台でも出来るくらいのチームのパフォーマンスにつなげていきたい、というのは決勝を戦ってみて思ったことだし、もっとやれたなと。そういうところをもっと突き詰めていければ、このチームはリーグでも多分上位で優勝争いを毎年できるようにになるんじゃないかと思います。

今シーズンを最後に、ベテランの浅利選手・藤山選手がチームを去ることになります。羽生選手はリーダーとして、今後チームをどう引っ張っていきたいと思っていますか?

 僕はコミュニケーションをとることで、チーム全体の風通しを良くするというか、たとえばストレスや重たい空気が漂っている時には、しっかり換気するような役割のイメージを持っています。普段からバランスを見ること、たとえば監督から激しい口調で言われた選手には、僕は「全然大丈夫だから普通にやればいいよ」って言ってあげるようにしているし、監督が何も言わなかった時に、選手がゆるい感じでプレーしていたら“それはちがうでしょ”と表現したり。まずそういうことを普段の生活だったり、練習や試合の中でやらなければと思っています。またプレーに関しては、試合中、それぞれの状況下で一番良い判断を考えることができて、それを伝えたり自分で表現出来る選手というのが、今思っている僕のキャプテン像というか、僕ができるリーダーなんじゃないかなと思います。

※グイグイひっぱっていくというより、周りの様子を見ながらバランスを取るという役割?

 そうですね。それこそ苦しいゲームの時に、1発点を決められるキャプテンだったり「着いて来い!」と引っ張るタイプはキャプテンシーがあると言われるでしょうが、僕は残念ながらそういった能力というのはあまりない。その分、ゲームの中で周りの人とコミュニケーションをとりながら『今どう思っている』とか『今この状況で何が問題だった』とか、『じゃあ僕があいつに伝えるから、もうちょっとこうやって欲しい』とか、細かく話しながらやるようにしているし、それが、僕に出来ることなのかなと。『できるだけみんなが気持ちよくサッカーができるように』と考えています。

 以前、ブラジル人の練習生が参加した時に、ブルーノが僕を「キャプテンだよ」と紹介してくれたんですが、僕は「形だけ、形だけ(笑)」って言ったんですよ。通訳の飯野さんがブルーノに「形だけだよ(と言っている)」と通訳してくれたら、ブルーノが「アア、バッタモンネ」って(笑)。多分飯野さんが通訳した言葉を聞いたとき、ブルーノの頭の中では「この単語の日本語は《バッタモン》だ」って浮かんだのだと思います(笑)。

 「ブルーノ、《バッタモン》は言い過ぎだよ!(笑)」って言ったら、「アー、ゴメンゴメン!(羽生選手は)ORIGINALネ!」って言われました。

 多分、ブルーノから見て、僕はあまり他にない形のキャプテンだから「オリジナル」って言ったんだと思うし、ブルーノが思うキャプテン像とも僕は違うタイプなのかなと思います。でもそれを聞いた時に「まあ確かにおれはオリジナルだな」と。だったら自分なりの表現の仕方で「羽生はそんな形のキャプテンだったな」と後々言われるようになれれば良いのかなって思っています。

 ※FC東京に来て、自分自身変わったり成長したなと思う部分はありますか?

 まずは東京にきて、チーム全体のことをよく考えるようになりました。チームがうまくいかない時は、やっぱり自分が何かしなきゃ、と思うようになりました。以前はそんなキャラではなく、ふざけて茶々を入れて、チームを明るくするだけみたいな立ち位置で、チームのことはその時のキャプテンにまかせて、という感じだったんです。

 「リーダーシップをとる」ということは自分が東京に来てやろうと思ったことの一つ。その部分は悩みながらも充実してやってこられたとは思います。

 サッカーに関しては、城福さんにすごく勉強させてもらっています。今まではどちらかというと、off the ball のところでどれだけ動けるか、どれだけボールが引き出せるのかということを意識してやってきたのですが、城福監督に出会って、サッカーの内容を本当に丁寧に教わっている感じ。「そういう風にサッカーが成り立っているのか」と考えるようになり、もっと上手くなりたいという気持ちが湧いてくるという感じです。今年特にそう思うようになって、それでボールを触ることも増えてきて。監督に教わったことを考えると、もっと上手くならないと出来ないなとか、監督が思い描いているサッカーに近づけないなと思い「もっとやらなきゃ!」という気持ちが強いです。そう思ってやっているのが今は楽しいし、去年よりは上手くなったなとは実感しています。

 でももっとやらなきゃいけない。来年は3年目。チームとしても個人としても大きな意味があると思います。「ここまでは必ずできる」という試合を今年残りの試合でやって、そこからプラスアルファを来年の初めから取り組めるよう繋げていきたいです。


 ◆ ここが知りたい!ニューさん6つの質問 ◆ 

1.ナビスコカップ掲げた瞬間の感想は?
カップを一番最初に持ったのが感動でしたね。あれはキャプテンが貰うから、僕はいつも後ろの方でワイワイやっていたので。それを今回最初に持った時、チームが苦しんでなかなか勝てなかった時のこととか、酷評されたときとか、そういう思い出がこのカップに詰まっているというか甦ってきて、それを自分が一番最初に掲げたということが、すごく嬉しかったです。

2.今、一番イジリ甲斐のある選手は?
最近はソウタンですね。練習のアップの時に今日なんか静かだな、みんな重たそうだなっていう時は「ソウタン、お前声出せよ、盛り上げろ」って。でソウタンが「元気だして行きましょう!」みたいな感じに言うんですけれど、その言い方が面白くて、みんな失笑してます。そういう風に和ませたい時にはソウタンを使っています。あとナビスコカップ優勝時に、僕もちょっと泣いちゃったんですけれど、誰よりも泣いていたのがソウタン。「いや、今日の試合はすごかったですよね!!感動しました!!」って泣いていて「なんでお前がそんな泣くんだ、お前出てないだろ!」ってヒデさんに突っ込まれていました。ソウタンは面白いですね。

3.ナビスコ優勝報告会で披露された社長の『シャー』はどうでしたか?
凄かったですよね、びっくりしました。あのやり方(笑)。社長は昔応援団だったそうで。「オレだったらこうやるぜ」みたいな感じで、事前に練習していたんじゃないかと思うくらいのすごいシャーでしたね。

4.もう羽生所長の白衣姿は見られないのでしょうか?
いや〜僕にも分からないですねぇ。オファーがこなくて。視聴率が悪かったのかな(笑)?結局2回しかやってないですよね。僕はいつでもスタンバイOKなんで・・・オファー待ちです(笑)。

5.昨年生まれたお嬢さんはパパ似ですか?
どっちにも似てると言われますね。(可愛いでしょう?)最近は試合が終わったあとに、遠くからでも自分のことがわかって走ってきてくれるので、そんな時は嬉しいですね。

6.マイホームパパ?
休みの日は家族と過ごすようにしますが、休みの前日はけっこうみんなで遊ぶというか、ごはんを食べに行ったりします。月に数回位は行かせてもらっていますね。みんなによく「ちゃんと家族のことを大切にしてください」って言われます(笑)。



「みんなとサッカーの話をするのが好きで、話し始めると面白くなっちゃって、話が膨らんで終わらないんです。」と羽生選手は言っていましたが、本当でした(笑)。端から見ているととても仲良しに見える鈴木達也選手とはよく練習後になにやら語り合いながらクールダウンをしているようですが。「達也とかとしゃべっていてもずーっとしゃべっちゃったりするし、1回スイッチが入っちゃうとずーっとしゃべっちゃうんですよね。でも内容はほとんどくだらないことですけど。」ちなみに羽生選手が「何か一つ願い事がとしたら・・・・『2〜3歳若くなりたい。達也より年下になりたい』」とのことでした(笑)。(石川由美子)
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