Vol.40  


今回の東京マニアには、2010年期待のニューカマー第二弾、松下年宏選手が登場!その精度の高いフリーキックは、昨年までは対戦相手だったFC東京にとっても脅威の対象でした。チームメートとなった今年、松下選手の存在は頼もしいことこの上なし!トーキョー・マニアVol.40では、そんなプレースキックのスペシャリスト・松下選手の素顔の魅力を徹底追及!

松下 年宏
まつした としひろ

MF 8

正確無比なフリーキックは相手に脅威を与え、豊富な運動量を活かした2列目からの飛び出しで決定機を演出するMF

Profile
1983年10月17日生まれ
鹿児島県出身
174cm/70kg B型
前所属チーム:アルビレックス新潟

経歴:鹿児島市立牟礼岡小(川上サッカースポーツ少年団)→鹿児島市立城西中→鹿児島実業高→ガンバ大阪→アルビレックス新潟

 

 

ニックネームはワンちゃん!

 今シーズン、アルビレックス新潟からFC東京に移籍加入した松下年宏選手。豊富な運動量でピッチを縦横無尽に走り回り、複数のポジションをこなすマルチプレーヤーだ。そんな松下選手のニックネームは「ワンちゃん」。

「ワンちゃんはプロに入ってからのあだ名なんです。ガンバ大阪時代、吉原さん(吉原宏太選手・現水戸ホーリーホック)という先輩から「王貞治さんに似ているな」と言われて。そこからニックネームはワンちゃんになりました。覚えられやすいし親しみやすい名前なので気に入っています。」

 松下選手の最大の武器は精度の高いフリーキック。お兄さんの影響で幼稚園の時にサッカーを始め、小学校時代にはもうプレースキックを任されるほど、昔からキックが得意だったと言う。サッカーの名門校・鹿児島実業高に進んだ松下選手は、チームメートとして赤嶺真吾選手と3年間をともに過ごす。

「中学校時代から試合で対戦していたので、真吾のことは入学前から
知っていました。真吾とは普通に仲が良かったし、なんと言ってもあの癒し系のキャラがいいんですよね(笑)。」

 

関西デビュー、そして新潟へ

 高校卒業後、松下選手はガンバ大阪に加入。順風満帆なサッカー人生を歩んでいるように見えたが、プロ選手となってからの松下選手は思うような活躍が出来ず、出場機会にも恵まれない日々を送っていた。

 プロになって5年目、すでにそのシーズンを7〜8試合ベンチで過ごす日々を送っていた松下選手に、ようやく初スタメンの機会が巡ってきた。なんとかしてアピールしたい試合だったが、思うようなパフォーマンスを発揮できず、まさかの前半20数分で交代を言い渡された松下選手。「自分のキャリアは終わったなあと思いました。」

 落ち込む松下選手だったが、そんな時に深く心に響いた歌があった。”自分が今やっていることは決して間違いではないんだ。”自分の心情を曲に重ねて奮い立たせた。
 「ここで立ち止まっている暇はない!」負けず嫌いがむくむくと頭をもたげる。「ダメでもともと」。彼は新たな環境へチャレンジする決心を固める。アルビレックス新潟へ。

 

 大人びたルックスでソフトな語り口のイケメンな松下選手だが、実は「滑りキャラ」と本人が認めるほど、面白いことを言っては周囲を笑わせる陽気な性格だ。

「でも僕、昔は全然しゃべらなかったんですよ。高校の時もおとなしくて…。それがいわゆる“関西デビュー”っていうやつですか(笑)?ガンバで大阪デビューをして、それからよくしゃべるようになったんですね。でも本当は結構人見知りをするんです。新潟に移籍した時も、一週間くらい誰ともしゃべっていないんじゃないかな。」
 


 だが「関西デビュー」で身に付けたお茶目さを新潟でも徐々に披露する松下選手。宮本恒靖選手(ヴィッセル神戸)の顔真似を披露したりと、新潟の選手との距離を縮め始める。そうして松下選手は徐々に実力を発揮、スタメンで試合に出場する機会も増え、チーム内で信頼を勝ち取っていった。

(←ツネさま顔真似中(笑)→)

 

 新潟に完全移籍した2009年シーズンには、Jリーグ全試合に出場し、その存在を『不動』のものにする活躍を収める。そのフリーキックは更に磨きがかかり、対戦チームの脅威となっていった。

 

新たな飛躍へのチャレンジ

 その活躍ぶりで一気に脚光を浴びた松下選手だが、その年のシーズンが終わると共に、新たな飛躍の場を求めて移籍を決断。そしてFC東京へ。

「FC東京への移籍は『成長させてくれるんじゃないかな』という思いが一番でした。もっと上に行きたい、レベルアップしたいという思いです。新潟でも試合に出ていたので、そこで成長できるんじゃないかと思われるかもしれませんが、そこで満足してしまう自分がいそうな気がしたんです。そうではなくて、そこで立ち止まらずに、もっと上のレベルで刺激を受けたいと。FC東京には代表経験のある選手もたくさんいますし、レギュラーが確定されていない状況にあえて行くというチャレンジに意味があるのではと思いました。」

移籍に不安はなかった?
「いやもう、そこはもう、不安しかなかったです。決めるまではかなり悩みましたね。」

真吾君に相談したりした?
「そうですね、しました。」

真吾君は何と?「おいでよ!」と?
「言われました。そのとおりです(笑)。『やれると思うよ』と言ってくれました。」

座右の銘は「喜」

 「本来、自分はポジティブ思考な人間ではない」と語る松下選手。ともすると、方向が見えなくなり、深く悩んでしまう。思い悩み、引きずってしまう。そんな自分を変えたい、前だけを見て進んで行きたい。もし下を向いてしまった時に一番最初に目に入るようにと、自分のスパイクの甲に「喜」という文字の刺繍を入れている。

「苦しい時に、下を向くのではなく、プロとしてサッカーができていることを喜ぶ、怪我なくやれていることがスタンダードで、僕が結果を出して、僕が喜んでいるのを見て、サポーターにも喜んでもらいたいという思いを込めて刺繍を入れているんです。」

 イケメンで面白キャラ、実はシャイでポジティブ思考を目指す松下選手の素の顔はいったいどこに?

「僕はかなりの負けず嫌いな性格なんですよ。知っている人から言わせたら「もうそれしかないでしょ!』でしょうね。グランドでもミニゲームやボール回しをしている時に回されたらもう「(怒)!!」みたいになりますし。」

普段の生活の中でも?

「出る時もありますね。でも東京に来て、なんかすごい大人しくなったような(ボソッ)。何でですかね?大人になったんですかね、僕。大人の階段を上っちゃったんですね(笑)。」

 特別な趣味はなく、家でDVDを見ることが多いという「インドア派」のワンちゃんのリラックス法はお風呂。

「家のお風呂にDVDを持ち込んで見ています。撮り貯めたドラマとかをよく見ていますよ。最近は「エンジン」や「プライド」とか。DVDを見ながらのんびりと湯船に浸って・・・巨人浴・・・いや半身(阪神)浴。

(笑)・・・。

こんな感じでいつも滑っているんですねー。やっちゃいました。はずかし〜(笑)。」

 

 

 5月15日、Jリーグ第12節。松下選手は後半途中から出場し、清水エスパルスからFC東京移籍後初となるゴールを奪い、チームを敗戦から救った。味の素スタジアムに響き渡る大歓声の中、松下選手は何度も胸のエンブレムを掴みながら喜びを爆発させた。

「僕自身、プレースキックを期待されているということは解っているので、早くそこで結果を出したいですね。キックの質自体は自分の中ではそんなに悪くないと思うので、あとは中で受ける選手とのタイミングだと思っています。」キックのスペシャリストとしての自覚は常に高く持っている。今のチーム内での自分の役割、求められているものももちろん理解している。

「今年はもちろんタイトルが一番の目標ですが、個人的には結果にこだわりたいです。」
具体的な数字などは?
「じゃあ、背番号が8なので、8(点)を目標に!


 ◆ ここが知りたい!松下選手へ6つの質問 ◆ 

1.ゴルフがかなりの腕前だとか。結構お上手なんですか?
結構お上手ですね(笑)。まあ、素人の中ではそこそこ楽しんでできるレベルかと。ベストスコアは90。(東京では一番上手いんじゃないですか?)いや、北斗(中村選手)が80台を出したことがあるみたいなので、その次ですかねえ。

2. 「お笑い」的に平松選手はライバル?
いやー、僕の足元にもおよばないですよ、アイツは(笑)。マツはグランドで盛り上げたりするんですけれど、そこは僕は苦手ですね。あの滑り具合であの勇気はすごいですよ。でも、キャンプの時の和太鼓パフォーマンスでは俺の方が面白かったかな。叩いて合いの手を「やあーー」。そこは降りてきましたね、笑いの神様が。爆笑でした。(マツさん悔しかったでしょうね)まあ仕方がないですね(笑)。

3. 東京に来て驚いたことは?
相太(平山選手)のイメージが全然違いましたね。インタビュー映像を見て「シャイボーイやなあ(*´∀`*)」と思っていたんですよ。あんなしゃべるヤツとは思
わなかったですね。悠平(徳永選手)も。

4. 食べ物は何が好き?
お米が大好きです。でも何でも食べます。

5. 普段はどんな洋服を着ていますか?
僕センスないですからね(笑)。ラフな感じが好きですね、Tシャツとか。Tシャツはいっぱいあります。アメカジが好きですね。

6. 今、何か一つ願い事がかなうなら?
語学。外国語をしゃべれるようになりたいです。英語、スペイン語あたりですね。スペイン、行きたいんですよねー。

 



26歳にしては大人っぽいルックスの松下選手(誉め言葉です)。お話をしていても、物腰が柔らかく、温厚で気遣いが出来る方という印象を持ちましたが、ご本人がおっしゃるには「ものすごい負けず嫌い」。面白いことを言っては周りの人々を笑わせるサービス精神旺盛なワンちゃんですが、その裏には苦しい時も「ダメでもともと」と前向きに乗り越えてきてからこそ培うことができた精神力の強さを垣間見ることができたような気がしました。ツネ様の顔真似以外にも「モノマネ」芸はいろいろお持ちなようですよ!(プーさんの声真似も披露していただきましたが、誌面ではお伝えできないのが残念!(笑)(石川由美子)

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