今年の5月25日から6月20日まで、「調布を描いて40年」という風景画展が調布市文化会館たづくり1Fの展示室にて開催されました。開催告知のポスターやちらしなどを目にして、その絵に「懐かしい〜!!」とたづくりまで足を運んだ方もたくさんいらっしゃったのではないでしょうか。
この個展の作品を描かれたのは布田在住の中川平一さん。中川さんは1964年より、教員として調布市内の小学校で図工を教える傍ら、調布の風景をずっと描き続けてきました。
すでに描いた調布の風景は1,000枚を超えるという中川さん。画材道具を積んだ自転車に乗ってお目当てのポイントまで出かけ、毎日早朝から絵を描き続ける中川さんは、『風景画を描くのは必ず現場で』という現場主義をずっと貫かれています。
一つの絵を描き上げるのに2〜3週間ほどかかるそうですが、毎日毎日、同じ場所へ出かけ、ひたすらそこで描き続ける。『最初は落ち着かないんだけどね。だんだん居心地がよくなってきて、その現場がボクの”アトリエ”になる。』「そう言えば、家のそばで先生が描かれている姿を見たことがある〜!」という人も多いのではないでしょうか?
中川さんが描く調布には、昔ながらの民家や建物、そして自然・木立ちなどの風景が多く登場します。
町の中で描いていると「どこを描いているんですか?」と通りすがりの人によく聞かれるのだそうです。『何処って、目の前の正面の物を描いているんだけどね。』と笑う中川さん。それは他の人では通り過ぎてしまうような風景であるらしく、中川さんの絵を覗き込むと「なるほど、ここですか。」と驚き、次には「今まで気づかずに通り過ぎていたけれど、絵に描かれるといいですね。」と納得の表情を見せる人たち。『こういう、ボクにしか見つけることができない日常の風景を見つけ、ペン・絵の具・紙で表現し、残していくのが自分の仕事だと思う。』と中川さんは語ります。
中川さんが描く絵の”モデル”はどうやって選ぶのでしょう?
お聞きしてみたら、昔からの民家であったり、古木であったり、一目見たとたん”ひらめく・通じる”ものを感じるのだそうです。『年月に耐え、加齢とともに醸し出される表情がとても美しいね。』
中川さんの題材に多い木立(古木)は『年を経て、風や雨に傾(かし)いで、コブができちゃったり、冬には葉が落ち、そうやって自然に耐えてきた姿がいとおしく、心惹かれる。』また、描かれる題材の中で「花」は中川さんにとって”やすらぎ”の存在。紫陽花や大根の花、今ではほとんど見られなくなってしまった菜の花など、『この季節はどこに綺麗な花が咲く』と分かっているので毎年通って描きます。『秋になったら綺麗な紅葉を描き、寒くなったら葉の落ちた木を描く。その間に民家も描く。』と一年中、休む間もなく調布の風景を描き続ける中川さん。
最近は知らない人から「(個展で絵を)見ましたよ。」と声をかけられることも増えたそうです。『「自分の知らなかった調布をボクの目を通じてわかった」と言ってもらったり、喜んでくれたり、共感してくれることがすごく嬉しいね。ボクの顔は知らなくても、描いている絵を見てボクだとわかってもらえるんだよ。』
『はやりを追いかけることなく、始めたままの姿勢で、現場に立って、写実・誠実に描く』と言う中川さん。これからも10年20年と、変わりゆく調布の風景を”変わらぬ”スタイルで描き、”美しい調布”の姿を残し続けていって欲しいですね。
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